手作りプリン こだわりプリンの秘密

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プリンとニワトリ
フランス料理のシェフから、養鶏農家に転じて20年余り。幾多の挫折や苦労のすえ、移住した新天地三原村で、ついに希望の灯を見いだした。その道程には、家族の支えや、迎え入れてくれた人々の温かな思いやりがあった。
「家の光2004年3月号」 取材、木下 正実

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三原村  高知県の最南端、太平洋に突き出た足摺半島と背後に続く陸地は地図で見れば、大海を泳ぐ大きなウミガメの形に似る。
 有田ニ三(ふたみ)さんが暮らす幡多郡三原村は、足摺半島をそのカメの頭部にたとえるなら甲羅部あたり。中村市、宿毛市、土佐清水市の三市囲まれたトライアングルのほぼ中間点に位置する農村である。
 
三原村
養鶏場全景 ニ三さんは3年前の春、家族とともに豊かな自然息づくこの村に移住。百姓工房「みゆ」と名づけた農産加工所を立ち上げ、自家産卵を生かしたプリンの製造販売に乗り出した。
「広い空や畑があるこの土地が好き」と、娘の美由来さんは語っていた。イチゴケーキやパンづくりにも挑戦したいと、家族の夢はふくらむ
カスタードプリン  その名も「たまご屋さんのうみたてタマゴで作ったカスタードプリン」。
 工房を訪ねると、なんともいえない甘い香りが漂ってきた。「ぼくには全然においませんがね」と、ニ三さんは笑うが、これはたしかに卵と牛乳が醸し出すおいしいにおいである。
 カスタードとは「卵、牛乳、砂糖などを煮つめてクリーム状にしたもの」を意味するが、じつは、ゼラチンに香料や染料を混ぜただけのカスタードプリンなるものが、大手を振って店頭に並んでいるという。
新鮮な素材で1ヶ月以上冷蔵保存がきくが、風味にこだわり賞味期限は4日に設定。
出荷作業中  「ぼくは農家ですから菓子づくりの専門家ではありません。そのかわり、素材のよさではだれにも負けない自信があります」
 ニ三さんは、胸を張ってそう言いきる。
 それは、こだわりをもって育てた自家産卵しか用いていないからだ。
 しかも、プリン1個(80g)に対し、卵の分量は、その半分に当たる40g。これに牛乳30gと砂糖10gが加わる。この牛乳も放牧農法による低温殺菌牛乳を取り寄せたものだ。
卵と牛乳の煮つまった甘い香りがたちこめる調理室。毎朝7時に村の豆腐屋さんがニワトリの餌用におからを届けにくる。その車の音で夜が明けたのを知る。
ニワトリ  ニワトリの飼養羽数は現在、成鶏が500羽。1日の産卵数は300〜350個だがら、毎日つくれるプリンは500個程度のすぎない。
 だが、新鮮さや風味を損なわないよう、朝もまだ暗い5時から製造を開始し、8時には出荷する。この1年半、ほとんど無休で働き、工房で夜明けを迎えてきた。
 それが少しも苦にならないどころか、これほど生きがいを感じる日々はない、とニ三さんは語る。
 「プリンがおいしいと感じてもらえるとしたら、そこには、ぼくのこれまでの人生と、家族や三原村の人たちの思いやりが凝縮して詰まっているからですよ」
「ニワトリは生まれて3日以内に食べたものが、その後の体をつくる」養鶏場では、健康なニワトリが駆け回っている

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