第一章





【 2 】

翌日、多村が約束通り図書室に向かうと、すでに永井が多村の初恋が済んでいるという話をあろうことか二人に話してしまっていた。

聖徳太子でも聞き取れないような、マシンガン並みの質問攻めに、多村はため息をついた。

「福原渚」

 多村がそう言うと、「へっ?」という疑問の声が聞こえた。

「そいつが京都から松山に合宿してきた時に知り合った。そいつがオレの初恋の人」

「振られたの?」

 玉田の言葉だった。その声に対して、「同じようなもんかな」と言って一息ついた。

「偶然テニスコートで知り合った。中二の夏休みにね。それで、オレは霧島っていう友達とそいつらと練習したりしてたわけ。もちろん遊びに行ったりもしたよ。でも、突然倒れてね」

 また月原は驚きの声を上げた。そして恐る恐る、「もしかして」と口にしたが、多村はその言葉を無視して続けた。

「骨肉腫。それがあいつの病名だった」

 そう。それが悪魔の病名だった。





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