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【 4 】 福原の母に見送られ、福原の家を出た多村は,村上と別れ、霧島と共に彼の家への帰路についた。ずっと前に家に帰っていたらしい和田は、「多村、いい年こいて迷子になんなよ」と言った。それを聞いた多村は、霧島のだいたいの言いわけを理解し、「うっせー」とふざけて答えておいた。 夕食をご馳走になり、少し雑談を交えた後、風呂を借りて寝巻きに着替えたが、もちろん寝るつもりではなかった。 「お前、村上とは上手くいってんの?」 和田が風呂に入っている間を利用して、多村は内輪話を持ち掛けてみた。 「まぁな。普通の親友で、彼氏彼女……というとこだよ」 そう言って少し霧島ははにかんだ。「ねぇ、霧島?」と多村は呟いて続ける。 「異性の親友と恋人の違いってなんだろ?」 「そりゃ、ほら。友情と愛情の間、とか言うだろ」 多村はため息をついて、「それを言うなら『冷静と情熱の間』」と言ってやった。そんなのもあったっけ、という顔で霧島が頷く。 「そりゃそうとして。異性の中でもすごく打ち解けて友情を持ってるのが親友で、愛情を抱いてるのが恋人になるんじゃない?」 では、友情の定義はなんだ? 愛情の定義はなんだ? 多村はそう言おうとしたが、「うん」と言って口を閉じた。 友情とは、友達としての愛情。愛情とは、相手に注ぐ温かな心、愛する心。そして異性を恋い慕う心。辞書を引けばそんな説明が載っている。それでは、恋とはなにかと言うと、異性の相手を自分のものにしたいと思う愛情を抱くこと。この言葉に込められた意味がそんな簡単なものではないはすだ。そう多村は思うが、具体的な答えを出すことはできない。辞書というものは、その言葉の定義を教えてくれても、真意を語るものではないのだと、多村は思った。では真意はどこにあるのだろうか。それも分らない。大人になれば分るのだろうか。 多村が取り止めのない思考を巡らせている内に、和田が霧島の部屋へと戻ってきた。それから夜遅くまで、それぞれの近況や好きなアーティストやその曲、というような雑談が続いた。 「じゃ、そろそろ寝るか」 散々話した後のその言葉で、多村と和田が薄い布団を被ると、霧島が蛍光灯の紐を引っ張り、電気を消した。蛍光灯の白い明かりが消え、一気に部屋が暗くなった。それからしばらく、三人の小声でのお喋りは続いたが、やがて部屋に静寂が訪れた。 そして夢を見た。 |