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【 2 】 年が明け、瞬く間に私立の一般入試は終了していた。学年では多村のクラスだけ、全員私立入試は合格だった。合格通知と共に奨学生の案内を貰った者もおり、多村もそうだったが、もちろん辞退した。内申には自信のあった多村は県立の推薦入試を希望し、運よく学校推薦を受けられることになった。作文、面接を何度も練習し、多村は県立推薦に臨んだ。央中から中央を推薦で受験した者は三人で、受験番号は並んでいた。中央の推薦入試の倍率はほぼ二倍で、同じような成績の生徒が集まっているのだから、誰が落ちてもおかしくない。推薦は受かるという時代はとうに終わっていた。 結果が返って来るまでにかなり時間があった。その間に県立一般の最終閉め切りがあり、そして卒業式の準備も、少しずつ進んでいた。多村、県トップの県立東高校を推薦受験した工藤もある日担任に呼び出され、推薦の合格通知を受け取った。そして、県立の一般も近づいていた。一般入試に臨む友人たちは、いつもの明るいそれとは全く違った。 まさに光陰矢のごとし、県立入試も終わり一時の平安が訪れた。そう一時だ。もう合格か不合格か、誰もその結果を変えることはできない。卒業式の翌日、その合格発表まではどうすることもできないのだった。 「どう、受かってそう?」 久々に顔を合わせた月原に多村は言った。なんの気なしに永井の机に座っている月原は肩を持ち上げた。 「さぁね。落ちてたらしゃーなしだよ」 そもそも、東山はとても倍率が高い高校で、受かるのは推薦がほとんど。一般から受ける者での合格者は各校で一人二人ぐらいしかいないという珍しい学校だ。この中学校からは推薦で落ちた者が二名、それに月原ら二名、合計の一般入試者は四人しかいなかった。 「それで、多村、あの話の続き、聞かせてくれん?」 「あの話?」と多村が言うと、教務主任の先生が廊下を通るのを見たのか、月原はすばやく机から降り、答えた。 「福原さんの話」 「あぁ……あれか」 そう多村が頷くと、永井と玉田も輪の中に入って来た。「えっ、あの話、続きあったの」とかなんとか言っている。そうすると、工藤と和田も多村の机に集って来た。「なんの話?」と工藤に聞かれ、「なんでもないし」と、多村は答えた。工藤はお決まり通り、聞かせろよ、といったように後ろの机から椅子を引っ張り出した。 「月原、お前、タイミングっつーもんがあるだろ」 もういいや。そう思った多村は、放課後の静かな教室の中で渚を探った。 |