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【 2 】 家に帰ると、部屋に上がって鞄からファイルを取り出した。感想ぐらい言えよな、と思いながらファイルを開けると、小さなメモ用紙が挟まっていた。用紙を開けると、「悪くないと思うから、ガンバレ! 月原より」と、生き生きとした月原が書いたと一目で分かる文字で書かれてあった。「あんにゃろ」と呟いて思わずにやけた多村は背もたれにもたれかかった。 月原と渚は外見が似ているだけではない。こういう不器用なところも似ている。だが、渚と月原は別人だ。そう思って多村はファイルを机の上の本立てに指しこんだが、指し込んだ変わりに封筒が落ちてきた。正面に、『多村秋平様へ』と丁寧な字で書いてある。裏を見ると、左隅に『福原渚より』と記してあった。 開けようとテニスボールのシールに爪を掛け、そのままシールを剥いだ。今なら、渚に会う勇気がある。封筒を開け、中の紙を取り出した。どうやらレポート用紙のようだった。そこに、生き生きとしながらも、繊細さを持ち合わせる文字があった。 翌日、多村はミサンガを握って階段を上がり、西門をくぐろうとした。その時、後ろから、名前を呼ばれ、振り向いた。大きく手を振りながらワイルドな親友が走って来ていた。半分殴り合うように抱き合い、離れて拳をぶつけた。その後ろからは、すました顔でポケットに手を突っ込んでいる、相変わらずキザな元生徒会長が、永井、玉田の二人と一緒に歩いて来ていた。玉田は感付いているようで、少し距離をとって歩いている。 そして、その後ろからセミロングの髪を揺らしながら、月原瑞穂が走って来ていた。多村は青いミサンガを握った右手を空高く掲げ、拳を握って親指を立てた。 走っていた月原も足を止め、息切れしているのか肩で息をしたあと、拳を突き上げて、親指を立てた。 空を見上げた。久々に快晴だった。空色の絵の具をキャンパスにぶちまけたような、そんな快晴だった。 |